
生命を撮り、歌い、語り、祈り、
人が表現できる場所を残す。
― 山中順子・aama|30日間の言葉 ―
DAY 11|記録
記録は、未来への手紙。
私は長い間、
写真を撮り続けてきました。
その時には、
何気なくシャッターを切った一枚が、
何年も経ってから
とても大切な一枚になることがあります。
そこに写っている人。
その日の光。
着ていた服。
暮らしていた家。
笑い方。
手のしわ。
隣にいた人。
その時代の空気まで、
写真の中には残っています。
だから私は、
記録とは単に
「過去を保存すること」ではないと思っています。
今を、未来へ渡すこと。
私は奄美で、
100歳を超える方々や、
島の暮らし、祈り、文化を
長い年月をかけて撮ってきました。
なぜ撮るのか。
いつか、
その人がいなくなるから。
いつか、
その風景が変わるかもしれないから。
いつか、
当たり前だった暮らしが
当たり前ではなくなるかもしれないから。
そして私自身も、
大切な人との時間を
写真や映像に残してきました。
残していたからこそ、
あとになって気づくことがあります。
「あの日、こんな顔で笑っていたんだ」
「こんな声で話していたんだ」
「こんなふうに私を見ていたんだ」
記録は、
時間が経ってから
意味を変えることがあります。
そして時には、
残された人を支えてくれる。
だから私は思います。
特別な日だけを
残さなくてもいい。
今日の母の顔。
いつもの食卓。
子どもの笑い声。
大切な人の手。
自分自身の姿。
いつもの店。
いつもの街。
何でもない今日こそ、
いつか二度と戻れない
大切な一日になるかもしれません。
写真でもいい。
映像でもいい。
文章でもいい。
声でもいい。
一行の日記でもいい。
残すことは、愛すること。
そして記録とは、
未来の誰かに、
「私たちは、ここで生きていました」
と手渡す
小さな手紙なのだと思います。
だから私は、
これからも撮ります。
書きます。
歌います。
語ります。
生命がそこにあったことを、
未来へ残すために。
今日あなたが、
10年後の自分へ
一つだけ残すとしたら、
何を残しますか?
明日は、
DAY 12|受け継ぐ
私たちは何を受け取り、
次の世代へ何を渡していくのか。
「継承」について書きます。
山中順子|aama
