9月12日|DAY 12 受け継ぐ

生命を撮り、歌い、語り、祈り、
人が表現できる場所を残す。

― 山中順子・aama|30日間の言葉 ―

DAY 12|受け継ぐ

私たちは、
受け取ったものを生きている。

自分の人生は、
自分一人から始まったように
思うことがあります。

けれど、
私たちの生命のずっと後ろには、
数えきれない人たちの生命があります。

父がいて、
母がいて、

そのまた父と母がいる。

名前も顔も知らない
遠い祖先まで生命をつないでくれたから、
今、私たちはここにいる。

受け継ぐものは、
血や名前だけではありません。

言葉。

食。

歌。

手仕事。

土地の記憶。

家族の習慣。

人を想う心。

祈り。

そして、
生き方。

私は長い年月、
奄美の島々を撮り続けてきました。

100歳を超える方々の姿や、
島の暮らし、
旧暦の行事、
祈りの姿、
自然とともに生きる人々。

それらを見つめていると、

文化とは、
博物館の中だけに
残されるものではないと感じます。

誰かが生きることで、
文化は受け継がれていく。

おばあが歌っていた歌を
孫が覚えている。

母がつくっていた料理を
娘がつくる。

昔から守られてきた祈りを
次の人が受け取る。

何気なく繰り返されてきたことの中に、
何百年もの生命の記憶が
息づいていることがあります。

でも、

受け継ぐということは、
昔とまったく同じことを
繰り返すことではないと思っています。

受け取ったものを、
今を生きる自分がどう理解し、

自分の生命を通して、
次へ渡していくのか。

そこが大切なのだと思います。

私もまた、
たくさんのものを受け取ってきました。

生命をいただき、

人から学び、

島から学び、

愛する人から学び、

出会いと別れからも
たくさんのものを受け取りました。

だからこれからは、

「何を持っているか」ではなく、
「何を手渡せるか」を考えて生きたい。

写真として残す。

歌として残す。

言葉として残す。

祈りとしてつなぐ。

そして、
人が自分自身を表現できる
「場所」を残す。

それが今、
私が受け取ったものへの
恩返しなのかもしれません。

生命は、
自分だけのものではない。

過去から受け取り、

今日を生き、

そして未来へ手渡していく。

私たちはみんな、

大きな生命の物語の途中にいる。

あなたは、
これまでの人生で
誰から何を受け取りましたか?

そして、

あなたは次の人へ、
何を手渡したいですか?

明日は、

DAY 13|祈る

願いを叶えるためだけではない、
私にとっての「祈り」について書きます。

山中順子|aama